6号機による厳しい規制で、出玉が狙えなくなっているパチスロ。しかし、大量獲得できる時代もありました。
特に出玉が多かったのは、1992年から登場した4号機時代。全盛期は大量出玉で有名な機種が多くありました。
この記事では4号機時代の歴史として、全盛期と呼ばれた2000年から4号機の終焉まで解説します。
目次
パチスロ4号機の歴史~登場~
4号機は3号機末期に人気が落ちたパチスロを改善させるため、1992年から登場しました。
当時は3号機の裏モノを排除するために基盤改正などが行われ、それによって出玉が大幅に減少したことでパチスロは人気が急落している状態でした。
4号機で変更されたポイントとしては以下の部分があります。
・コイン持ちの改善
・リプレイの導入(リプレイはずしによる攻略法が登場)
・Bタイプの新設
・完全告知の導入
こうした変更が行われました。そして1992年12月に初めての4号機が導入され、2005年までの長きに渡って機種が作られることとなります。
4号機導入時の現状
当時は技術介入が必要とされたため、ビタ押しができない人は勝てない時代です。
また、4号機導入時はAタイプの機種ばかりとなっていましたが、1993年にBタイプが初めて導入されました。
これにより色々なパターンによる開発が進められます。
更にリプレイの導入による再遊戯が可能となりましたが、盲点を突いたリプレイはずしが登場し、小役回収打法が猛威を振るう形となります。
1995年に登場したクランキーコンドルが代表的な機種で、雑誌等で攻略されました。
裏モノの継続と地域限定機種の存在
一方で裏モノは店側の利益なども確保するために残り続け、一部の機種が裏モノとして撤去まで残り続けることとなります。
ただ、裏モノ以外でも沖縄で提供されていたスロットが人気を集め、ハナハナやシオサイなど、沖スロと呼ばれる台が人気を集めました。
現在でも沖スロは高い人気を誇る機種となっています。
4号機の進化
最初に登場した4号機を4.0号機として扱います。
この4.0号機は2000年まで提供されましたが、1998年になると拡大解釈が取られるようになり、徐々にパチスロの獲得枚数が多くなっていきます。
また、チャレンジタイムが導入され、ウルトラマン倶楽部3などを始めとした人気機種が登場していきます。
なお、現在でもシリーズとして提供されているジャグラーは1998年に完全告知台として導入されました。
当時から完全告知という点で人気が高く、現在でもそのスタイルは継承されています。
その他、4.0号機時代に人気だった機種は以下の通りです。
・ニューパルサー
・サンダーV
・花火(後継機の大花火も含む)
・アステカ
・ルパン三世
パチスロ4号機の歴史~液晶導入と4.1号機へ移行~
2000年になるとさらなる変化が発生します。
まずは液晶の導入です。
これまでスロットには液晶が導入されておらず、パチンコにだけ利用されていました。
これをパチスロでも導入できないかと試行錯誤が行われた結果、2000年に登場したゲゲゲの鬼太郎で初めて液晶導入機種が誕生しました。
これにより演出が大幅に改善されました。
ここで新しく導入されたのがサブ基板です。
メイン基板では払い出しなどの様々な部分を管理していますが、サブ基板によって演出やギミックを変更できるようになります。
これにより更に演出が可能となった他、出玉を大量に出すことのできるAT(アシストタイム)が誕生することとなります。
ATとは?
ATは押し順ナビと呼ばれるものが液晶に表示され、その通りに押すと的中するというものです。
今までは技術介入が必須とされていましたが、ATの登場によりビタ押しの技術がなくても絵柄を揃えられるようになりました。
ただ、AT中は確実に揃うというわけではなく、一定の確率で外れます。
そのため定期的に外れるものとしてATを利用していく必要がありました。
出玉の増加と4.1号機への移行
2000年以降になると、これまで1回の出玉が400枚程度となっていた機種が更に増加し、711枚まで獲得できる機種が増えていました。
当時は大花火が711枚まで獲得できるようになっていましたが、他の機種でも続々と711枚程度の獲得枚数が可能となり、一気に射幸性は高まります。
2000年5月に4.1号機が初めて登場し(ゲゲゲの鬼太郎SP)、一気に拡大解釈等による出玉性能強化が図られました。
パチスロ4号機の歴史~爆裂AT機とST機の登場~
2001年にまず登場したのはST機です。
現在でも採用されているストックタイム搭載機が初めて登場したのは4.1号機です。
ちなみに台の名前はブラックジャック777です。
このST機はリプレイ確率が大幅に上昇し、コインを消費せずにスロットを回し続けられる機能をつけています。
また、成立したボーナスフラグがそのまま蓄積されるようになり、ST終了後にストックされたボーナスを放出できるようにしています。
ST機の消滅
当時はこの機能が画期的と言われ評価されたものの、同様の機能を持った機種はさほどリリースされずに姿を消しました。
その理由は同月に発売された爆裂AT機にあります。
このタイプに押されてしまったことで、画期的な機能だったST機は4号機であまり見られなかったのです。
ただ、初期の頃にはキングパルサーが人気機種となり、ST機が悪かったというわけではありません。
爆裂AT機があまりにも出玉性能が強烈過ぎたことで、霞んでしまったことが原因にあるのです。
爆裂AT機の誕生
ST機が流行らなかった最大の理由は、ブラックジャック777の同月に導入された獣王の存在です。
この機種は2001年から2002年まで続く、爆裂AT機時代を作り出すきっかけとなりました。
2000年に登場したATのギミックを連続して続けられるように、サブ基板に連チャンの抽選要素を加えることによって獣王は連続した出玉獲得が可能となりました。
サバンナチャンスに突入できれば1万枚以上の獲得が可能となり、大負けしている状態から大勝まで持っていけるという状況が生まれました。
獣王並のスペック誕生
この獣王は高い人気を誇り、パチスロを娯楽からギャンブルに変えるきっかけとなりました。
その後、獣王に負けないような台を開発して販売するメーカーが続出。
7月頃に販売されたサイバードラゴンは、獣王に匹敵するほどの爆発力があり、同じように人気を博す機種となりました。
しかし、こうした高射幸性の台が多発したことにより、ついにメーカーの暴走と思われる機種が登場することになります。
2001年末から2002年前半にかけて登場した以下の機種は、出玉性能が飛び抜けて高いことで知られています。
・サラリーマン金太郎
・アラジンA
・コンチ4X
こうした機種の登場により、爆裂AT機は社会的な問題に発展します。
自主規制へ
実際にサラリーマン金太郎は時速5,000枚というキャッチコピーをつけるほどの爆速性能を持つ機種で、アラジンAは10時間で75,000枚が理論上獲得可能。
これまでの台を超越するような出玉性能になっていました。
これらの機種は借金をしてでも当てれば返せると考える人が続出し、借金をしてパチスロを打つという問題が発生するようになります。
これが社会的に問題視されるようになり、パチンコ系の管理団体である日電協は自主規制による対応を余儀なくされます。
なお、サミーから獣王の後継機として灼熱牙王という機種が計画されていましたが、こうした問題を踏まえてリリースできずに終わった事例もあります。
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パチスロ4号機の歴史~爆裂ATの終焉~
爆裂AT機はユーザーには高く評価されましたが、社会問題として取り上げられるなどの問題が発生し、これ以上利用させるわけにはいかないと判断されました。
日電協は2002年7月、ついに自主規制という形で性能を抑える決断を下します。
そして、2002年7月以降に検定を通過した機種を4.5号機と呼ぶようになります。
この時現在の4.1号機を分類し、あまりにも問題のある機種を早期に処分することにしました。
当時はサラリーマン金太郎とアラジンA、コンチ4Xなどが問題視されていました。
しかし、実はこの前月に大問題作ミリオンゴッドが販売されるという致命的な問題が発生していました。
ミリオンゴッドの弊害
ミリオンゴッドは社会的に問題となった機種の1つで、ゴッドゲームに突入すると5,000枚が獲得できるという爆裂AT機です。
更にストック機能も存在したため、ゴッドゲームが連続して発生し、場合によっては50,000枚を有に超える出玉を出します。
当時ミズホ(現在はユニバーサル)は日電協に加入していなかったこともあり、自主規制をかいくぐって販売しホールに設置されました。
当然高い人気を誇り、借金してミリオンゴッドを打つ人が続出、これによる自殺者まで出るという大きな問題が発生します。
検定取り消しと基準強化
借金や自殺の問題により、警察は自主規制ではどうにもならないと判断し、2003年10月に以下の3機種を検定取り消しとして即時撤去するように要求しました。
・サラリーマン金太郎
・アラジンA
・ミリオンゴッド
また、4.5号機になり、これまでのAT機は事実上検定を通過できなくなりました。
AT機が消滅していくことで、爆裂AT機に敗北したST機が主体となります。
なお、撤去された機種は規制を強化した後継機が登場しましたが、ゴールドXは攻略法が発覚して撤去されるという事例もありました。
サイレントST機の登場
当時4.5号機は出玉性能が4.1号機よりも悪く、人気は今ひとつでした。
ただ、スーパーリノで導入されたサイレントST機能が好評となり、AT機が作れない以上この機能を導入したほうがいいとメーカーが判断しました。
そして、サイレントST機が多く作られるようになります。
これまでのST機と違い、STが発生しているか分かりづらい状況となっていたため、場合によってはかなりのストックが貯まった状態で放置される場合がありました。
こうした台をうまく狙えば、一気に出玉を報酬できるメリットがあったため、ユーザーから評価されました。
出玉の回復と再規制
4.5号機の吉宗はビッグボーナスが連チャンするというST機として導入され、連続して711枚を獲得できる利点があるなど、爆裂AT機に近い出玉性能を引き出すのに成功しました。
他にも以下の機種が人気となっていました。
・アントニオ猪木という名のパチスロ機
・北斗の拳
・スーパーブラックジャック
現在までパチスロの主力とされる北斗の拳はここで登場しました。
またスーパーブラックジャックは、Rioシリーズとして高い人気を誇ることになります。
しかし、出玉性能が全く下がっていないなどの判断から、更なる規制が必要と日電協は判断しました。
この結果、出玉性能を抑えるための規制を強化、2003年10月以降は4.7号機基準での試験を行うこととなりました。
パチスロ4号機の歴史~4.7号機の登場~
4.7号機に変更され、更に出玉性能が抑えられました。
主に変更されたのは以下のポイントです。
・1日で万枚獲得を困難にすること
・機械割を120%以下に抑えること
こうしたポイントを主体として出玉性能を規制しました。
ただ、機械割は検定時に120%を超えていなければ問題なく、ホールに設置されてから120%以上だと発覚したものも多数あります。
当然ですが、4.7号機は出玉性能が悪く、ST機として人気だった4.5号機に押され続けることとなります。
4.5号機が残っている間は厳しい状況となりましたが、これらが撤去されることで少しずつ日の目を見る機種が登場しました。
4.7号機の台頭
短期的には爆発力のある機種が4.7号機にも登場し、比較的出玉が期待できるという理由から設置期間満了までホールに設置されるケースが多くありました。
その結果、2000年代中盤には4.7号機が主力して活躍し、厳しい状況だったホールを支えました。
この4.7号機では以下の機種が人気となっていました。
・カイジ
・押忍!番長
・アラジン2エボリューション
・北斗の拳SE
・鬼浜爆走愚連隊
なお、日電協は4.7号機という名称を正式には利用しておらず、2003年10月以降に検定を通過した機種という名称を使っています。
そのため4.7号機は単純にわかりやすい区分とするために用いられている部分があります。
パチスロ4号機の歴史~規則変更によって5号機へ~
4.7号機で出玉性能を減らしたものの、それでもまだ規制が不足していると判断され、ST機に対して規制するように求められました。
また、様々な部分での規則変更が必要と警察が判断し、2004年7月に4号機から5号機への移行が発表されます。
この5号機では、短期の出玉性能を抑えるために規制が追加され、以下のルールを検定時に確認する必要があります。
・400Gの試打で300%未満
・6000Gの試打で150%未満
これが追加されたことで、4号機は全て不適合の機種となりました。
設置期間満了まで稼働させても構わないため、4.7号機の設置は続行されました。ただ、設置期間満了と同時に撤去する必要があります。
4号機終了
5号機は2005年7月(パチスロとして出たのは9月)に登場しましたが、案の定出玉性能が悪く、ユーザーから避けられました。
2007年までは4.7号機が主力として活躍し、何とかホールが売上を維持することに成功したのです。
1992年から続いたパチスロ黄金期、4号機時代は2007年9月末に終了しました。
2007年10月からは5号機だけの時代へ移行することとなり、更に厳しい規制の中でパチスロ人気が落ち込んでいくこととなります。
まとめ
パチスロ4号機は、出玉性能の強化をメーカーが行い、ユーザーがそれに狂喜乱舞した時代です。
多くの名機が登場し、パチスロ黄金期と呼ぶ人も数多くいるほど、大量出玉に夢を膨らませていた頃と言えるでしょう。
ただ、その裏には本来生まれてはならない機種が登場し、社会問題となった事実を忘れてはいけません。
やりすぎが将来的なパチスロ人気に陰りを作ったのも真実と言えるのです。
