パチスロ4号機時代は出玉性能が非常に高く、数時間で数万円勝てる状況が発生していました。
あまりにも射幸性が高いことと社会問題化した影響もあり、4号機時代にはパチスロ初の検定取り消しが行われるなど、大きな規制も行われました。
今回はパチスロ4号機時代の中でも、特に射幸性が高くなった爆裂機時代を解説します。
パチスロ4号機を変えた爆裂機
パチスロ4号機は、ホールに設置された当初から出玉性能が高かったわけではありません。
当時は出玉性能が高い機種こそ存在しましたが、実現させるためにはビタ押し技術が必要となり、何も出来ないプレイヤーには勝てない時代でした。
これを変えたのが爆裂機です。
2000年の拡大解釈により、2001年から導入されたAT機はこれまでの技術介入が必要だった時代を変え、技術がなくても簡単に1万枚以上の出玉が狙える状況を作り出したのです。
爆裂機は様々な影響を与えている
爆裂機の出玉性能は様々な影響を与えました。
これまでAT機に興味がなかったユーザーだけでなく、パチスロ似興味さえ無かったユーザーも爆裂機を求めてホールにやってきました。
これにより、ホールの売上も大幅に上昇し、設定さえ入れればそれなりに稼げるパチンコ店も増加しました。
また、爆裂機の登場はメーカー側の意識も変えました。
AT機ではそこまでの出玉は無理だと思われていましたが、爆裂機の登場でAT機を作ったほうが出玉は出せると判断。
2001年以降に登場した機種がほぼAT機となるなど、メーカー側もAT機に全力を向けるようになったのです。
爆裂機の暴走がパチスロ規制に影響
一方で、爆裂機は出玉性能を引き上げすぎたことで、暴走したと判断されました。
1万枚は当然のこと、2万枚や3万枚が現実的となるなど、出る時は大量に出玉が期待できる状況でした。
一方で吸い込みやすい機種ばかりとなり、借金をして爆裂機で勝負する社会問題が起きたのです。
こうした問題を受けて、2002年には検定試験によってAT機を排除するような自主規制を行うこととなります。
自主規制によって、これまでメーカー側が作っていたAT機は事実上リリースされず、全て性能を抑えるか出玉の方法を変えるなどの対策が取られました。
一方で出玉性能は大幅に向上
パチスロ規制を生み出した一方、爆裂機の出玉性能は高く評価されました。
数時間で1万枚以上の出玉が期待できる機種が続々と登場したことで、ユーザーは大量出玉に夢を求めていくようになります。
規制強化後も出玉性能については色々と評価の対象となり、出ない機種は全く打たれない時代となります。
爆裂機の影響により、ST機以降に登場した機種も出玉性能が高く設定されるなど、射幸性の低下が図りづらい状態となったのです。
パチスロ4号機の爆裂機はATの変更が生み出した
4号機の爆裂機ですが、メイン基板だけでは実現させることができません。
メイン基板以外にも、サブ基板で抽選させることでATの爆発力を生み出し、連チャン性能を大幅に高める必要があります。
これを可能にしたのが2000年の液晶導入です。
また、液晶が導入されたことで演出面をカバーするサブ基板の導入が可能となりました。
液晶の導入がサブ基板の導入に繋がり、このサブ基板が最終的に爆裂機のAT制御装置として利用されたことから、爆裂機の誕生を実現させたのです。
サブ基板で抽選させることでATを爆発させる
本来はメイン基板だけで抽選などを担当しますが、爆裂機の場合はサブ基板にも抽選させる機能を作ります。
基本的な抽選はメイン基板に担当させますが、連チャンや特定のチャンスゾーンについてはサブ基板が抽選させる方法を取ります。
サブ基板が延々と抽選を行っている状態を作り出すことで、ATを可能とするチャンスゾーンなどを長期に渡って維持できるようにしました。
ATが何度も起こり続けるため、大量の出玉獲得が可能となったのです。
連チャン性能が向上し出玉が異常な状態に
サブ基板による抽選を実現していた機種は、主にCタイプと呼ばれるものが多くなっていました。
Cタイプは従来までのAタイプに比べると、連チャン性能が急激に向上しているものが多く、出玉性能が異常な状態となっていました。
技術介入も必要ないため、誰でも大量出玉が獲得できるようになり、1日で10万円以上の利益を出す時代へと変わっていったのです。
一方で吸い込み性能も一気に向上
大量に獲得できるということは、当然大量に回収するような状況も発生します。
爆裂機の大半は吸込量も半端ない機種が多く、当たらない時はとにかくメダルを吸い込んでしまいます。
また、爆裂機はコイン持ちも悪く、すぐに追加投資が必要となってしまうのです。
こうした吸込量が高かったことで、借金してでも軍資金を確保しなければ、爆裂機と対等に戦うのは難しいと言われていた時代があります。
パチスロ4号機で有名な爆裂機
パチスロ4号機では有名な機種が多数ありますが、中でも爆裂機は伝説的な機種が多く存在します。
これはいい意味でも悪い意味でも印象に残っている機種が多く、その後に大きな影響を与えた機種も多々あります。
ここからは、パチスロ4号機の有名な爆裂機をいくつか紹介します。
獣王
爆裂機時代に突入させた張本人です。
この機種のサバンナチャンスが爆裂AT機と呼ばれる機能をもたらし、他のメーカーが次々と同様のシステムを導入するきっかけとなります。
なお、この機種は検定取り消しの対象にはならず、設置期間満了までホールに置かれました。
出玉性能を引き上げられた理由
この機種はサバンナチャンスの抽選をサブ基板で行っており、この抽選に当選させるとサバンナチャンスが継続することとなります。
延々と抽選を繰り返し、AT機として確実に揃えられる状況を作り出したため、爆裂機のパワーを引き出すことに成功しました。
アラジンA
検定取り消しを受けた機種の1つです。従来までのアラジンは集中役という形で当選させていましたが、この機種はAT機の流行によりAT機としてリリースされました。
あまりにも射幸性が高すぎたことに加え、出玉性能が異常だったことで取り消しの対象となりました。
出玉性能を引き上げられた理由
この機種はスーパーアラジンチャンスが出玉性能を引き上げる要因となっています。
これはアラジンチャンス中に外れフラグを引くと50%の確率で突入します。
ATの継続ゲーム数が10ゲームから用意されており、これで大量出玉を獲得できました。
また1%未満という厳しい数字では合ったものの、5,000ゲーム継続が用意されています。
これを引くと一撃で6万枚以上の出玉獲得が理論上可能となるなど、射幸性と爆発力が高すぎたため問題視されました。
サラリーマン金太郎
同じく検定取り消しを受けた機種です。
メーカー側が大量出玉を獲得できると宣伝するなど、明らかにユーザーを射幸心で煽るような取り組みをしていました。
その結果、実際に出玉性能が高かったことに加え、継続性も高いと判断されて検定取り消しの対象となりました。
出玉性能を引き上げられた理由
金太郎チャンス中にボーナス抽選が行われていたことが要因です。
1回目の金太郎チャンスが終わると、その間に抽選してボーナス当選していたものが継続するため、延々と金太郎チャンスが続くケースもあります。
これによって一撃1万枚、時速5,000枚というキャッチコピーを実現できるようにしています。
コンチ4X
これまでコンチネンタルという機種を販売していたアルゼが、AT機に着目して登場させた機種です。
従来までの機種と全く別物となっており、出玉性能が異常に高くなっています。
機械割がとても高い機種として注目され、設定6では169%に到達しています。
出玉性能を引き上げられた理由
こちらもATゾーンを継続させる要素を持っていたため、出玉性能が高くなりました。
コンチ4Xでは、スーパーラッシュと呼ばれるゾーンが存在しますが、この間にも次のスーパーラッシュの抽選を行っています。
この抽選に当選させ、スーパーラッシュを継続させると大量出玉が獲得可能となっています。
神輿
機械割が異常に高い機種として有名で、設定6では261.6%という信じられない数字を叩き出しています。
この機種は一般的な方法では大量出玉の獲得は難しくなっていましたが、条件さえ達成すれば異常な出玉獲得が可能となった爆裂AT機です。
出玉性能を引き上げられた理由
ミリオンチャンスを早朝に作り出せれば、設定を無視して2万枚以上の出玉が獲得できるという状態を作り出しています。
これはモーニング機能として搭載され、朝一からホールが仕込めば可能となります。
普通の方法ではミリオンチャンスは不可能となっており、導入台数が少ないこともあって恩恵を受けた人はあまり多くいません。
ミリオンゴッド
検定取り消し機種として、そして4号機を象徴する機種として有名です。
とにかく大量出玉と吸い込みを作り出すために用意された機種と言ってもいいほど、出玉性能の高さとコイン持ちの悪さを両立しています。
借金をしてこの機種に挑戦し、返済できずに自殺するという社会問題を起こした原因でもあります。
出玉性能を引き上げられた理由
GOD絵柄を揃えた際に発生する、プレミアムゴッドゲームで約5,000枚を獲得できます。
この他にも小規模なゴッドゲームに突入すれば、AT機能で大量出玉が可能となっています。
ゴッドゲームを引くか負けるかというゲーム性に加え、出玉が射幸性を煽る異常な数字だったこともあり検定取り消しとなりました。
爆裂機の終焉
大量の爆裂機が登場したのはいいものの、その性能はこれまでのパチスロとは異なるものです。
最終的には大量出玉をどのように実現するかという部分に重きを置くなど、娯楽の範囲を超える機種が多数登場しました。
2002年に4.1号機は不適切と判断し、日電協は4.5号機への以降を発表します。
また、2003年には警察が射幸性の高い3機種の検定取り消しと強制撤去を実施したことで、爆裂機は事実上作れなくなりました。
検定取り消し機種以外は設置期間満了まで設置される
検定取り消し以外の爆裂機は、コンチ4Xなどの機種が問題視されたものの、そのまま設置期間満了までホールに置かれました。
4.1号機は2005年頃まで設置されたため、その間であれば爆裂機で勝負できる状態でした。
ただ、射幸性の高い機種を設置できないと判断したホール側が自主撤去したケースもあります。
また、爆裂機にはあまり高い設定を入れないなどの対策を施し、大量出玉が得られないようにする事例もありました。
検定取り消し機種は調整した機種が登場
検定取り消しを受けたアラジンA、サラリーマン金太郎、ミリオンゴッドの3機種は調整した機種が導入され、同じようなゲーム性で遊べるようになりました。
- アラジンA→アラジンS
- サラリーマン金太郎→サラリーマン金太郎S
- ミリオンゴッド→ゴールドX→ゴールドXR
基本的なゲーム性は同じですが、大量出玉の獲得は不可能となっており、AT性能が弱くなっています。
それでも大量出玉が獲得できるという理由から人気の高い機種ではありました。
なお、ゴールドXは攻略法が見つかったため、自主回収の後ゴールドXRとして対策された機種に変更されました。
ST機主体となり爆裂機は消える
AT機は検定通過が不可能に近い状態となったため、検定通過と出玉性能の両立を図るため、ST機への切り替えが行われました。
そして爆裂機が提供されなかったことで、爆裂機は2006年にはホールから消滅することとなります。
ただ、ST機の中にも大量出玉が獲得できるものは多く存在したこと、そして吉宗のように出玉性能を引き上げる要因を作り出したことなどが影響し、ST機も問題視されました。
そして4.7号機の調整を経て、最終的には5号機による厳しい規制基準が設けられます。
まとめ
爆裂機は2000年代前半のパチスロ界を支えた機種でもあります。
また、大量出玉を獲得できるという要素から、多くのパチスロユーザーを生み出すことに成功しました。
しかし、その代償として厳しい規制への第一歩を踏み出したのは間違いありません。
有名な機種が多かったこと、検定取り消し以外の機種でも出玉性能が高かったことから、古参のパチスロユーザーは爆裂機時代を高く評価しています。
今の6号機を見ると、4号機時代が羨ましくなる人は多くいるでしょう。
